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機械語とはコンピュータ(CPU)を動作させるための数値列の事です。 ATtiny2313 では 16bit または 32 bit で 1 つの命令を表します。 一方アセンブリ言語とはこれらの数値をその機能などが直観でわ かるように英単語や記号等を当てはめた物です。 アセンブリ言語で記述されたプログラムを機械語に直す事をアセンブル と言います。また、アセンブルを行うコンピュータプログラムを アセンブラと言います。 但し、アセンブリ言語をアセンブラと呼ぶ事もあります。
アセンブラの最新のマニュアルは PDF になってなく、 HTML バージョン だけあります。 ver. 1 のアセンブラ用のマニュアルは PDF になってます。 ver.1 に無くて、 ver. 2 にあるのは、条件アセンブリやプリプロセッサの機 能です。
機械語やアセンブラでは頻繁に十六進数など、十進数以外の表記を使います。 これらのルールはアセンブラのマニュアルにあります。
アセンブリ言語は一つの機械語を機能と引数に分けて表現します。
機能の部分をmnemonic(ニモニック)と呼び、引数をオペラン
ドと言います。
例えば、0000 1100 0000 0000
は R0 レジスタと R0 レジスタを
足して、 R0 に収める機械語です。
また、0000 1100 0000 0001
は R0 レジスタと R1 レジスタを
足して、 R0 に収める機械語です。
一方、0000 1100 0001 0000
は R1 レジスタと R0 レジスタを
足して、 R1 に収める機械語です。
総称すると、0000 11rd dddd rrrr
は Rd レジスタと Rr レジスタを
足して、 Rd に収める機械語です。
したがって、これらに対して機能を表すニモニックを add とし、Rd と Rr の
部分をオペランドとします。
つまり、Rd レジスタと Rr レジスタを足して Rd に収めることを、アセンブリ
言語で表現すると add Rd,Rr
となります。
オペランドとして、メモリの番地の他、ビット位置や、定数(リテラル)、演算
結果の収納先などを指定することができます。
アセンブリ言語はテキストファイルに記述します。 アセンブラのユーザーズマニュアル AVR Assembler Assembler source に示されているように記述します。 「ラベル: ニモニック オペランド」 を空白で区切って記述します。 ラベルの前に空白があってはいけません。 また、セミコロン(;)の後ろはコメントとしてアセンブル時に無視されます。 ニモニックの位置には他にディレクティヴ、マクロなどを置くことができます。
ラベル ニモニック オペランド コメント
.org 0x0013
reset:
ldi r16,low(RAMEND)
out SPL,r16
アセンブリ言語中で定数の演算式を書くことが出来ます。 アセンブラのユーザーズガイドの AVR Assembler Expressions にあるように C 言語で許されて いるような演算子がそのまま使えます。 但し、レジスタの内容は演算の対象ではありません。
アセンブラとはニモニックとオペランドから機械語を生成するものですが、 利便性を向上するためのアセンブラの機能があります。 ディレクティヴとはアセンブラに対する指示をする命令です。 ディレクティヴはピリオド(.)で始めます。
良く使うディレクティヴを紹介します。
.device attiny2313
とすると使用プロセッサを ATtiny 2313 にするこ
とができます。
ただ、次の include で使う ATtiny2313 用のファイル内でも指定されています。
.include <tn2313def.inc>
として定義ファイルを読み込むと、各 I/O Register のビットを名前で参照し
たりできるようになります。
なお、 tn2313def.inc は
C:\Program Files (x86)\Atmel\Atmel Toolchain\AVR
Assembler\Native\2.1.39.1005\avrassembler\include にあります(バージョ
ンにより多少位置は異なります)。
インクルードファイルの内容はプログラムを組む時重要になりますので、印刷してお
いて下さい。
マクロを定義します。 macro のオペランドにマクロ名を指定します。 マクロ定義の中で引数として @0 から @9 の 10 個の仮引数が使えます。 なお、AVR のアセンブラのマクロ中のラベルはローカルにしか使用できません ので、マクロ中に定義したラベルに外部からアクセスすることはできません。 なお、グローバルなラベルを使用するには #define 疑似命令を使用する手が ありますが、こちらこちらで基本的に一行で記述しなければならず、複数行を 書くには(\)を使用した継続行を使用する必要があります。
EQU などで使用できる関数を下記に示します。 なお、これらは一部なので、詳しくは アセンブラマニュアル Expressions を参照してください。
さて、この節では実際にプログラムを作成する手順を説明します。
アセンブルしたプログラムはシミュレータで動作を観察できます。 Project → プロジェクト名 Property を選ぶと 設定画面が出ます。 Tool の設定画面で、 Simulator を選ぶと ソフトウェアシミュレータ を使えるようになります。 シミュレータはプログラムを一命令ずつ動かしたり、指定した所まで動かして 止めたり出来ます。
シミュレータはテープレコーダのボタンのようなボタンで操作をします。 なお、 右側の画面でマイコンの状態を見ることができます。
プログラムリストの行をダブルクリックすると左側に赤い丸が付きます。 これを ブレークポイントと言います。 矢印一つの Run ボタンを押すと、ブレークポイントで停止します。 これにより、プログラムの途中のレジスタの値などをチェックできます。
その他、一命令だけ実行する Step Into, Call 命令に関しては戻って来るま で一括で実行する Step over, サブルーチン中から抜け出すまで実行する Step out があります。
なお、実行中にI/Oのボタンを押すと、その値に変化させることができます。
アセンブリ言語のプログラムは Build すると HEX ファイルが作られます。 これをマイコンに書き込むには次のようにします。
前回のサンプルプログラム sw.asm の各ディレクティヴがどのような意味か、全て調べなさい。
前回のサンプルプログラム sw.asm を機能毎に区分し、各機能を説明しなさい。
前回のサンプルプログラム flash.asm の各ディレクティヴがどのような意味か、全て調べなさい。
前回のサンプルプログラム flash.asm を機能毎に区分し、各機能を説明しなさい。