次の FET による増幅回路の周波数特性を求め、グラフを書きなさい。 但し、相互コンダクタンスは gm で表し、 ドレイン抵抗は∞とします。
等価回路は次のようになります。
まず、等価回路から V'1 を求めます。左辺の合成インピー ダンスを Zとおきます。
右側の等価回路で RL を流れる電流 I2 を考えます。
ここで (R1+R2) / (ω CR1R2) と 1 の大小関係、つまり (R1+R2)) /( CR1R2) と ω の大小関係を考えます。
よって周波数特性は ω が R1R2/( C (R1+R2)) より小さい場合は ωに比例し、大きい場合は一定になる。
次の回路の電圧利得の周波数特性を考えましょう。
そのため、まずこれを簡略化した回路の特性を求めます。
この場合、V2=V1より Av=1
この場合、電圧が RL:R に分 割されるので Av=RL/( R+RL) となります。
目標の回路の特性を求めましょう。 合成インピーダンスをZ とします。
つまり、コンデンサだけを取り去った場合の利得と同じになります。
つまり、R, Cともない場合、これはコンデンサを短絡 したことと同じ利得になります。
結局、周波数が小さい時はコンデンサが無い状態、周波数が大きい場合はコン デンサを短絡した場合に相当することがわかります。 RL/ (CRRL) < ω < (RL+R)/ (CRRL) の場合は、少し調べると単調増加であることがわかります。 従ってグラフは次のようになります。
gnuplot を用いて電圧利得の周波数特性を調べます。
簡単のために a=1/RC, b= (RL+R)/ RRLC と置くと次のようになります。
ここで、 a<b より a=1, b=2 など適当に値を定めます。 すると、 gnuplot にグラフを描かせる関数は (1+ jx)/(2+ jx)の絶対値になります。 gnuplot では虚数単位 j を {0,1} という形で表しますので与えるコ マンドと得られるグラフは次の通りになります。
set logscale xy plot [10**(-3):10**3] abs((1+{0,1}*x)/(2+{0,1}*x)
トランジスタ増幅回路はつぎのような原因で不安定になります。
このような原因を取り除くため、負帰還という手法を用います。詳しくは 4 章 pp.152-153 で取り上げます。
次の回路で電圧利得を調べましょう。
比較を行うため、次の簡単な回路の解析から始めましょう。
この回路の等価回路は次のようになります。
まず、V と V1は等しいです。 次に、V2は、 RL を流れ る電流とRLの積です。 そして、その電流は gmV を RD:RL の逆比で分配したものになります。 従って、 V2, Av は次のようになります。
さて、目標の回路の解析をしましょう。 等価回路はつぎのようになります。
注意したいのは、 FET のゲートからソースには電流は流れませんが、 V1 とソースの間にある RE には電流が流れるため、電位差が発生 することです。 従って、ゲート・ソース電圧 V は次の式で与えられます。
この電圧でドレイン・ソース間を流れる電流が決定するので、あとは同様に V2, Av を求める と次のようになります。
このことから次のことが言えます。
つまり相互コンダクタンスが大きくても、電圧利得は RE で定まる一定の値に落ち着いてしまう ということです。
このように帰還抵抗が入ることにより、電圧利得は落ち、さらに相互コンダクタンスの 値と無関係な値に定まることがわかります。
そこで、このような帰還が直流的な変動を抑えるように効き、交流信号には効か ないようにできれば、先に述べた変動に対して強い増幅回路ができます。 それを実現したのが次の回路です。
この回路は、周波数が低い信号に対しては、帰還抵抗 RL があるように働き、周波数が高い信号 に対しては帰還抵抗がないように働きます。 つまり低い周波数では一定の低い増幅率に、ある程度高い周波数では相互コン ダクタンスで決まる本来の増幅率で増幅されることになります。
この回路の等価回路はつぎのようになります。
RE に流れる電流は (1+h2 1)IB になるので、V1と IB の関係は次のようになります。